子どもの恐怖感や不安感を軽減するためにデザインを進めていくと、親のためのデザインでもあるということが分かるのです。例えば、共同研究先の佐賀大学附属病院の小児科医が心理量を物理量で評価するツールの球を使って気持ちを尋ねると患児の顔がみんな明るくなり、それを見ているお母さんの顔もまた明るくなり、医療者が子どもの心のことを知ろうとしていることに驚きと共に感謝の意を伝えるという報告がありました。
つまり、子どものためのデザインは、親のためのデザインであることを最初から考えることが重要であるということなのです。
そもそも子どもに玩具を買う決定権は親にあり,親はこちらの知育玩具の方が良いと判断し、子どもに願いを込めて買うわけですだから、今までも親のためのデザインを考えていたではないか,というのとは、実は全く異なる視点であることに気がついて欲しいのです。
子どもの恐怖感を軽減するデザインが,連鎖として親の安堵感を生むデザインを考えるべきと言うこに気がついて欲しいのです。
子どもの理解を高める方法にある機能を入れることで、親の理解力を高めるデザインを考えると言うことは、感性デザイン学ができる技(Kizuna:CVカテーテル用プレパレーションのようにプレパレーションの最中に親がもっと知りたいと思った時,それに応えるためのデザイン要素を考えて設計することなど)なのです。