研究16

先行研究である研究06の改良点を抽出し,より効果的なディストラクション・ツールの開発を目的とした研究である.


2006年度卒業研究・制作,口頭発表内容,[2007年1月25日]

「入院患児のためのディスクトラクション・ツール」

殖大学工学部工業デザイン学科 感性デザイン研究室:小野暁海
指導教員:岡崎 章


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研究内容は「入院患児のためのディストラクション・ツールです.

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研究の背景と目的
入院患児にとって,処置室での時間は精神的・肉体的苦痛を伴うものです.
現在,処置室での苦痛を緩和するため,子どもの治療に対する説明・プリパレーションや処置時に注意を逸らすディストラクションが試みられています.


しかし,多忙な小児病棟において,十分なプリパレーションやディストラクションを行うのは難しく,それを補助するツールも開発されていない現状です.

そこで本研究では,先行研究の改良点を抽出し,より効果的なディストラクション・ツールの開発を目的としました.

また,対象年齢は自我が芽生えているが自分をコントロールできない為,ディストラクションの実施が難しい2〜4歳にしました.

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研究の方法

処置時の現状把握をするために,北里大学病院に協力してもらい,聞き取り調査を行いました.

現在病院では処置時に音楽をかけたり,ビデオを見せてディストラクションを実施しているのが現状で,玩具では音の出るモノや感触を楽しむモノが使われていました.

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処置時の現状把握
処置時の時間は5分程度が多く,場合によっては30分かかるものもあり,長時間の場合は,玩具を頻繁に交換し,患児を飽きさせないようにしています.

しかし,十分なディストラクションが行えない小児病棟では,処置を行いながらの玩具の交換は大変で,片付けやメンテナンスなどの問題もあります.

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医療現場での指摘
先行研究の万華鏡を用いたツールを実際に使用してもらっている,北里大学病院から受けた指摘は以下のとおりでした.

1.光量が弱い
2.ベッド内の処置でも使用したい.
3.他の医療器具の音で集中力が途切れる.
4.壊れそうで扱いが慎重になる.
5.カスタマイズできるツールに人気がある.
6.電源を電池にしたい.

と以上のような6点があげられました.

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改善点の抽出とアイデア展開

北里大学病院から特に要望の強かった改善点は以下のとおりでした.

1.電源を電池に変更.
2.参加する要素を加える.
3.音の要素を加える.
4.先行研究の強度の向上.

以上の改善点をもとに「光る」「参加できる」「音が出る」の3点に重点を置き,アイデア展開を行いました.

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ツールの提案(1)
以上のことを踏まえ,2つのディストラクション・ツールを制作しました.

ツール1の説明です.

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遊び方
遊び方ですが,電池で動く光源装置の上にボールを乗せて,転がしながら光の変化を楽しめるようにしました.
6種類のボールがケースに収められていて,自分でボールを選んで転がすことによって,参加の要素を取り入れました.
また,ボールにより光り方や影が異なり,光の表情の変化を楽しむことができます.

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ツール1.
ボールは光源装置に乗せなくても単体で遊べるようにしました.
迷路,剣玉などのゲーム性のあるモノから,ガラガラのように中に入ったカラフルな玉が転がり音が鳴るモノ,ゆっくりボールの中を動くモノ,動物がプリントされていて覗きこんで楽しむモノなどがあります.

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音の要素
改善点にあげた音の要素を取り入れるため,スピーカーを内蔵しており,付属のICレコーダーで患児の好きな曲や両親の声を再生できるようにしました.

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収納
光源装置はケースに内蔵し,ツールと共に透明なケースに収納でき,使用前の準備や使用後の片付けを容易にしました.
また,透明のケースなので,閉まっている状態でも中身が確認でき,視覚的にも患児を惹きつけることができます.

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強度
ケース底面にはウレタンのクッションがあり,衝撃を吸収すると共に滑り止めになり,患児のラフな扱いにも耐えられるようにしました.

また,ケースを横にした時にウレタンの厚みで少し傾き,患児にとって見やすく扱いやすくなっています.

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ツールの提案(2)
ツール2の説明です.

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遊び方
遊び方ですが,パイプ内の光るボールをポンプで吸い上げるもので,ポンプを動かすだけなので看護師が操作する他,患児も操作することができます.

また,使用時に場所をとらないのでツール1を広げられない場所での使用が可能になります.

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研究成果
以上の2つのツールを北里大学病院の協力のもと,実験を行いました.
被験者は6歳の男の子で骨髄穿刺実施直前の待ち時間に行いました.

実験の結果以下のようなことが分かりました.
1.迷路や剣玉など目標が達成できるモノを好み,集中した.
2.音楽をかけることにより,周りの音で集中が途切れることがなかった.

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3.透明ケースのため,ベッドで寝たままの体勢でも使用できた.
4.ツール全体を通して処置時間が来るまでの40分間を使用することができた.

と以上のような結果が得られました.

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考察
実験の結果,処置の迎えが来るまで集中しながら遊ぶことができました.その間,患児の保護者と患児のコミュニケーション・ツールとしての役割も果たせました.
よって,本研究の効果的なディストラクション・ツールの開発という目的は達成できました.
なお,今回の実験で特に人気だった迷路,剣玉の難易度を上げたモノとツール2の種類を増やしたものを加えて北里大学病院に提供する予定です.